ポケットモンスター スカーレット・バイオレット
タイトル概要
中央値: 73 Amazon点数: -
スコアーボード
標準偏差 0 難易度 2.00 mk2レビュー数 1ユーザーレビュー
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127人の方が下記のレビューはオススメと投票しています。
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GOOD!
特に良かったのはBGM。シナリオ序盤訪れる道路などは穏やかな曲調だ。生息する野生ポケモンとの戦闘に突入するなりシームレスに戦闘曲に切り替わり引き締まる。オープンワールドである今作に合った没入感の深まる良い仕様。
またシナリオの節目で行うことになる、ジムリーダーやヌシポケモンなどの大きなボスとの戦闘曲もシチュエーションに合致した素晴らしい楽曲群で気合を感じる出来。特にジムリーダー戦は相手のポケモンを倒す度に演奏パートやフレーズが増えていくなど、演出面も深く考慮された楽曲で聞き応えも抜群。
舞台を考慮してかラテン系の楽曲が印象に残りやすく、華やかな冒険をギターや打楽器が情熱的に、流麗に盛り上げてくれる。
そして、プレイヤーたちがシナリオで訪れる最後の場所であるエリアゼロのBGMは極めて異質で、かつ美しい。そこにいる「未知」と共に流れる楽曲は、数少ないながらもこれまでのポケモンシリーズではあり得ない方向性の曲ばかりで、これ以上ないほどの美しさと儚さ、そして恐ろしさをも伴っている。
そしてエリアゼロにて行われる戦いの最終局面に纏わる戦闘曲なども素晴らしい出来で、こちらもまた異質で硬質で、熱い。様々な方面で挑戦的な作風のスカーレット・バイオレットだが、BGMはその最たるものかもしれない。クォリティも抜けて高い。
ゲーム部分の良い箇所に言及すると、まずオープンワールドの世界をポケモンというゲームで歩けるという体験が出来た事そのものにとても魅力を感じる作りだった。フィールドは起伏に富み、ライドポケモンであるコライドン、ミライドンと共に風を切り走る感覚が素晴らしかった。
自然に満ち満ちたフィールドを歩き、走り、野生のポケモンを観察したり捕まえたり、時にトレーナーに試合を持ちかけるというそういう経験一つひとつに新鮮さを感じる作り。それ自体は過去作のシナリオの進行でもやっていた事ではあるが、やはりオープンワールドの世界を自由に探索しながら行うそれらの行動は歴代作とはまた違った良さがある。
街並みも作り込まれていて、観光気分で歩くにもバリエーションがあって楽しいものであり、総じてオープンワールドとしてリリースされた事に意味を感じるタイトルだ。
ストーリーも魅力的だ。今作では三つのストーリーラインがあり各ルートで様々なキャラクターやポケモンが活躍する。
従来通りジムリーダーと戦いながら頂点を目指す【チャンピオンロード】
秘伝スパイスに纏わる謎を追う【レジェンドルート】
スター団を相手に学園に起きた出来事を追憶し追う【スターダスト★ストリート】
全てにおいて見どころが多く、普段あまりポケモンの本編ストーリーを気にしない私ですら大いに引き込まれた。
チャンピオンロードを共に駆けるネモは真の好敵手として多く戦い、主人公も成長していく王道物語であり読後感が爽やかなルート。
レジェンドルートではペパーと主に伝説の食材である秘伝スパイスを求めていくが、徐々にペパーと、サポートしてくれる博士らに纏わる重大な事実が明らかになっていく神秘的で感動的なルート。
そしてスターダスト★ストリートでは過去に学園に起きた出来事を追いながら、事実と追憶に思いを馳せてしまう……裏側を読み解いていくルートと言える。
それぞれが一本のゲームに膨らませられるくらいの密度を誇り、内容も素晴らしい。今作の登場人物はそれこそこれまでのシリーズでは描ききれないくらいのディテールで描かれた人物が多く、闇を抱えている上で問題の多い人物もおり、一筋縄ではいかない。しかしその課題を越え、少しずつ前進していく姿勢を見せ続ける彼らはとても力強く、逞しい。ポケモンに接するそういう人々の強さを強く感じたシナリオだった。
新鮮な気持ちで遊んでほしい為当レビューではシナリオに纏わる部分に関しては言及を多くする事は避けるが、それこそシナリオ部分で見ても歴代最高傑作と言って差し支えないぐらいの力作だったと思う。とても多くの人たちから癒しと勇気を受け取れる、素晴らしいストーリーラインだった。
BAD/REQUEST
今作最大の問題点はUI周りとレスポンスの悪さ。前作である剣盾より劣化した部分があまりにも多い。
不満に感じる部分として具体的には、
→ボックス整理時のアイコン読み込みの長さ
→ゲーム内プロフィールなどに設定する自撮り画像を撮る際のカメラモード時に主人公が移動できない仕様
→サンドイッチを作る際のレシピ確認画面での素材名表記がなかったり、お気に入りレシピのソート機能がない仕様
→とも思えば技マシンマシンのお気に入りはデフォルトで上に優先表示されるが、お気に入りそのものを五個しか保存できない
→フィールド時ミニマップの北側固定が出来ない上マップピンを一個しか保存できない
→レジェンドアルセウスにあったまとめて逃す機能がない
→オプションに過去の作品では必ずあった勝ち抜き戦闘や戦闘アニメーションカット、オープンワールドゲームではデフォルト搭載であろうカメラ感度の設定がない
などなどなどなど。他にもまだまだ山積みで、大部分がこの調子でこういう部分に関しては何故このままリリースしてしまったのか疑問に思ってしまうレベルのものばかり。上に挙げた難点に関しては全てプレイ中にどうしても往復する画面なのでストレスがそれ相応に溜まる。過去作で出来た事が露骨に出来なくなっている事が多いポケモンシリーズ新作の悪癖が今作はかなり露骨に出ている。
また今作はオープンワールドという規格でリリースされたせいかバグや不具合も多く、(幸運な事に自分はまだ発生していないが)強制終了も周りのフレンドらから頻繁に報告が上がっている。よってデバッグ時間も相当不足していると想定される。
バグと思しき挙動の一つに、今作ではフィールドで最初から発生している天候は永続天候扱いで、そこで戦闘を開始したとして特性や技では上書きできない処理が為されているのだが、稀にそれが通ってしまい別の天候に出来てしまう事がある。想定外の挙動なのか物凄くゲームの内部フレームが重たくなるので、戦闘中の描画が極端に遅くなりハード本体が熱くなるなど、非常に危険な状態になる。
処理にやや負荷がかかる雨や吹雪などのエフェクトや、野生ポケモンのシンボルが多いフィールドは秒間フレームがかなり落ちてしまいあまり快適に遊べない。効果音なども音飛びになってしまったりするのでこの辺りも何とかして欲しい所ではあるが、ハードの性能限界と思える箇所もかなりを占めるため根本的な解決は難しいと思われる。
COMMENT
本作はプレイ時間150時間以上。筆者は過去作含め対戦メインで遊ぶプレイヤーだが、今作は様々な部分で挑戦的で、ゲームフリークの「これをやりたい!」という欲望に似た野心の様な物を強く感じた意欲作。
歴代本編作品の中でも光る物は多くあり、優れたデザインだと言える。特にBGMや探索部分、ストーリーは全てのゲームと比較したとしても傑作と言って過言ではないだろう。また対戦部分に関してもまだ環境初期の為多くは語らないが、今作はテラスタルに纏わる部分に面白さが多くあり、過去の環境とは大きく違った楽しみ方が出来る為その方面でもかなり新鮮に遊べている。
ただ劣化した部分やUIが昨今のシリーズの中であまりにも酷く、単体のゲームと割り切って見たとしても差し引きマイナスになってしまうかどうかはプレイヤーの感性に大きく委ねられてしまうのが残念な所。それを差し引いても秒間フレームが不安定過ぎる部分などは擁護できず、局所的かつ致命的な悪い部分が余りある良い点を相殺するレベルの作品なのが事実。
要素が多くあるゲームであり様々な遊び方で長く遊べる作品なのは間違いないので、様々なバグやある程度の不具合に耐えられるぐらいのメンタルや持久性があるプレイヤーに向いている。
遊ぶ際はひとまず設定画面を開き、万が一がない様にオートセーブをオンにしてからストーリーを開始する事を強く推奨させて頂く。お忘れなく。