GOOD!

Infinityシリーズや極限脱出シリーズの打越氏の新作

▼近未来SF
SFをうまくつかった作品。途中伏線をばらまいて最終ルートで伏線を回収する打越氏らしい作品。今作は謎を残して途中で終わらせて、想像と考察で補ってください、な「Remenber11」のような作品ではないので安心

▼キャラ
一癖ある個性豊かなキャラが揃っている。個人的にはアイボゥとみずきがお気に入り。この2人と主人公伊達との絡みは楽しい。みずきは生意気なクソガキなのに不快感が全くないという絶妙なキャラ設計になっている

▼夢世界の演出
他人の夢を覗いて捜査していくという世界観なのだが、夢ということもあり演出が自由で多彩。マインクラフトをパロったふざけたものもあれば幻想的、いい意味で精神を攻撃してくれる悲しい演出もある

▼紙芝居ゲームではない
国産ADVは紙芝居ゲームが多いが、今作は3Dのステージで3Dのキャラが動いてくれる。グラフィックは粗さがあるが、モデリングはなかなか

BAD/REQUEST

▼人間の行動が非常に不自然
打越氏の過去作は、「主人公が絶対気付くであろう事柄に不自然に気付かないことでシナリオが成り立つ」といったような、キャラの言動が不自然な作品が多いが、今作はこの要素が非常に強い

本筋のネタバレにならないような具体例をあげると、「鑑識が上司を経由して主人公を事件現場に呼び出して検査結果を主人公に一言報告する」というシーンがある。なんで事件現場に呼び出す必要があるんだよ、上司に報告せず呼び出しの仲介だけ頼むっておかしいだろ、などとすぐに思ってしまうタイプの人には今作は大変つらい

アイボゥの能力もシナリオが成り立つように都合よく有能になったり無能になったりバッテリーが切れたりする。ギャグパートのON、OFFもわかりづらい

SF的には特に矛盾は感じられず伏線が回収されまとまるが、ご都合主義で人間的には矛盾だらけで終わる、という悪い意味でも打越氏らしい作品。刑事物作品のように見えるが、捜査や推理は楽しめない。サブストーリーに該当するみずき編や応太編の方が本筋より満足度は高かった

▼ゲーム性が希薄
夢世界の演出が自由なのはいいのだが、解法まで自由で脈絡がない。一応刑事物なのだから捜査の過程にヒントを散りばめられていれば推理や捜査の楽しみができたと思うのだが

他にもゲーム性をつけるためにQTEがある。今の時代にQTEを追加されてもうれしくない…

単に読むだけのゲームにならないようにしてくれたのはわかるのだが、結果にはつながっていない。惜しい

▼プチフリーズが多い
ロード待ちなのかもしれないが、サブ画面出現時に数秒止まることが多い
特にロードが必要な場面でもないと思うのだが、なぜだろう？
フリーズしたと思っても数秒待ってると進むことが多いので、焦らずに

COMMENT

17時間ほどで全ルートクリアしました。ボリュームとしてはちょうどよかったと思います

SF作品なら整合性はあまり気にしない方なら楽しめて、SFでもリアル世界と共通する点にはリアルさを求める方ならキツイかなと。あとギャグに漫画アニメのパロディが大量に出てくるので、パロディが苦手な方も注意です。好みわかれる作品だと思います


個人的には低評価になりましたが、好きなルートはありましたし、光る要素もあったと思います。刺さる人には刺さると思うのでADV好きならプレイする候補に

一度ギャグなしのシリアス一辺倒で丁寧な作品作って欲しいなあ